仕事で使う初めてのパソコン
サポーター: アプティラボ 大久保栄一
これから始まる物語は、私が係わった初めてパソコンを使う人々のご苦労を書きました。
皆様のご参考になる事を願っています。
平成15年4月一人の奥様がパソコンを教えて欲しいと訪ねて来ました。
パソコンを習って何にお使いになるのですか?と尋ねると「仕事に使います。」と答えた。
本を読んだり知人に教えてもらったりしても「その時点では、解ったような気になるが、翌日には自信がなくなってしまう。」という状況でした。
私は、日ごろから「インターネット技術は田舎ほど利用価値がある」と理解していましたし、時あるごとに力説していました。そこでこの申し出でにも諸手を上げて賛成し、お手伝いをさせて頂くことにしました。私は、これから始まる事が過去の経験から、どの程度大変なことか理解していましたが、本人は、この時点で、これから数々の難題をクリアーしなければならない事を想定していなかったと思います。
ここから奥様の苦難の道が始まりました。
最初の課題は、「まず習うより慣れろ」です。メールを毎日送って頂き返事を書いたり受信したりしながらメールを味わって頂く事から始めました。
これと並行して奥様にキーボードのタイピング練習とマウス操作の練習、マイクロソフトワードで文章の入力を練習して頂きました。3ヶ月後には慣れてきたようで表を使った文書を作ることができる様になりました。
順調に勉強が進んだように思いがちですが、ご自宅から週に3回は電話で問い合わせがあり、説明に苦慮しました。何と言っても専門用語が通じないのですから、上の方だの左から三番目だの箸を持つ方の手だのアイコンの形を説明したり、同じ画面をこちらでも出して、イライラしながらも我慢して、時々こちらが我慢しているのを電話の向こうで感じるらしく「すみません」の連発です。こちらも説明が悪くて「すみません」で、お互いに「すみません」ばかりで話は「すすみません」。どうしても駄目な時は諦めて車に飛び乗りました。辿り着けば「なんだそんな事か」で終わりです。また、「すみません」です。幸い車で5分の距離だったのでお互いそれほど負担にならずに「すみました」。
ウィンドウズは、クリックするたびに新しいウィンドウが表示されます。こちらはその小さなウィンドウ内で上だ、左だと言っているのですが受け側は、その外側まで見てしまい話が通じません。新しいウィンドウが表示されたこと自体気が付かないのです。マイクロソフトさんが、新しいウィンドウの色を赤くしてくれるとありがたいのですがね!意思の疎通が取れるための最低限のルールを理解して頂く事は大変難しいことです。
さて、皆さんは、日本語を入力する過程は頭の中で七つのステップが必要なことをご存知ですか?
えエ本当ですか!
ステップ1: 原稿を見る(文章を考える)
ステップ2: 漢字のふりがな名を思い浮かべる
ステップ3: ローマ字に変換する
ステップ4: キーボードのアルファベットを探しキーを押す
ステップ5: ひらがなが表示されるので合っているか確認する
ステップ6: 漢字に変換し、同音異語を確認する
ステップ7: よし!とばかりにエンターキーを押す (意思決定し確定する)
この過程を経てやっと日本語が画面に表示される訳ですが、キーボードを探している間に漢字のふりがなとせっかく頭の中で変換したローマ字を忘れてしまうのです。
「えぇと!」「うぅんと!」「うぅ・・・!」「ここはトイレではありません!」簡単ではないのですよ!
ステップ2の漢字のふりがなですが、20代を過ぎた方は、一般的に漢字にふりがなを振ることから縁遠くなっています。殆どの皆さんが日常用語に正しくふりがなを振ることが出来ません。身近な例を挙げると「日付」「続く」「気付く」「地図」「品質保証」「自治体」その中でも意外に難しいのは、「大通り」これが出来る人は10%以下です。これらを全て一回の変換で出来た人は、小学校を正しく卒業している事が証明されました。「おめでとうございます」
余談が長くなりましたが、この間に初めに買ったパソコンのハードディスクが壊れてしまい大騒ぎです。何しろ毎日使っているので、まったく仕事ができないわけです。ファックスで対応しているのですが一度味わった便利さはなかなか捨て難いものです。そこで、新しく予備のノートパソコンを購入する羽目になりました。予定外の出費にしょんぼりです。パソコンを買って来たからといって直ぐに使えるわけでは有りません。
まず、ウィンドウズのセットアップです。電源を入れて暫くすると貴方は何人ですか?とパソコンが尋ねてきます。国名欄に「日本」と表示されるので「はい」と答えます。この後も色々とパソコンが尋ねてきます。大抵は、「はい」と答えると上手くいきますが、誰でも「はい」と答えると「何か変になったり」、「余分なお金を取られる」かと心配になり、なかなか「はい」と答えられないものです。
ウィンドウズのユーザー登録画面では貴方の名前は、住所は、電話番号は、と尋ねられます。その後、ユーザー登録は、インターネット経由でしますか?電話でしますか?と聞かれます。初めてパソコンを使う人には無理な質問です。その上、インターネット接続を電話回線でしますか?ネットワーク接続ですか?とも聞かれます。もう、この辺で頭が痛くなってしまいます。明日にしようと考えて電源を切ろうと思っても初期設定が終わるまでは止める事も出来ません。
この後に、紛らわしい質問をパソコンがします。ユーザー名を登録してください。「さっきしたじゃないか?」と言いたくなります。このユーザー名は、「貴方以外にこのパソコンを使う人が居ますか?」と聞いているのです。ウィンドウズXPでは、2人以上の人がプライバシーを守って、別々の画面設定が出来るのです。その画面を開くためのパスワードの設定も出来るのです。「その様なことは聞いたことが有りますが、現実に突然画面から聞かれても答えようが有りません。だって、ドキドキしながら買ったばかりのパソコンを壊さないかと心配でたまらないのですからね!」
これで終わりかと思った大間違いです。
今度は、パソコンメーカのユーザー登録を催促する画面が現れます。
今日は頭を使い果たしたし、早く使ってみたいので「いいえ」と答えました。良し!やるぞと身構えたら今度は、セキュリティソフトが、ユーザー登録とアップデートを催促します。これも「今日は、解らないから いいえ」と答えました。この辺でパソコンが次に何を聞いてくるか解った様な気がします。インターネット関係は、色々と聞かれて厄介だから「少し文字でも入力してみよう」とワードを開きました。しかし、ここでも「ユーザー登録」画面が出ます。これをしないと20回しか使えません。「うるさい!!!」でございます。「今日はもう寝ます。」
インターネットの加入手続をする
パソコンの画面には、インターネット接続業者のコマーシャルが目白押しです。私の買ったパソコンの画面で宣伝をするとは許せません。どこかに消えて欲しいのですが、これが大変です。いくら X をつけて消しても電源を入れるとまた出てきます。これを消す方法はマニュアルを角から角まで読んでも簡単には解りません。厄介なのが居るのです。このコマーシャルも過去には多少役に立ったのですが、最近は、ADSLが多くなったので役立たずです。パソコンメーカも少しは、考えて辞めて欲しいものです。このコマーシャルの思惑は、独占禁止法に抵触しないための方策なのです。パソコンメーカは、パソコンを売るだけでなく自社が経営するインターネットプロバイダーに加入して欲しいのです。でも自社だけの宣伝をすると法律に触れるので自社のプロバイダが一番目立つようにして他社のも沢山出しているわけです。「大変迷惑でございます。」
インターネットを楽しむためには、3つの事を理解する必要が有ります。
1、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP:インターネット接続業者)インターネットをするため に加入しなければ成らない会社です。
この加入にも色んな知識が必要です。つなぎ放題、時間制、ダイヤルアップ、フレッツ接続ADSL、
ウィルスチェックサービス、複数メールアカウント「もう辞めてくれ」と言いたくなります。
2、パソコンとインターネットをどの様に通信するか。
(1) 今までの電話線を使った方法 モデム方式 56Kbps パソコンの裏側に電話線を刺せば繋がり ます。しかし、通信速度が遅いので最近は人気がありません。
(2) ISDN回線に変更する ISDN方式 64Kbps 電話とパソコンが同時に使えますので、
一時人気が有りました。
(3) ADSL回線に変更する ADSL方式 40Mbps 電話とパソコンが同時に使えますし、
通信速度も上記に比べて100倍早くなります。
最近のインターネットは、これでないと楽しめなくなって来ました。
また、ウィンドウズのアップデートやウィルスソフトのアップデートもこれに対応していますので
時間がかかってどうにもなりません。
3、インターネットの仕組み
インターネットには、三つの機能が有ります。どちらもプロバイダ加入手続きをすると出来ます。
(1) ホームページを見る機能
誰かが作ったホームページを見て楽しんだり、買い物が出来るホームページで楽しんだり、
天気予報、ニュース、テレビ番組の確認などが出来ます。
この時の言葉にホームページアドレスまたは、URLが有ります。
例 http://www.uenohara.info エッチ、ティ、ティ、ピー、コロン、ダブルスラッシュ
なんだかお経の様な言葉を聴いたことがあるでしょう、「あれです。」
(2) メールのやり取りをする
友達と手紙のやり取りが出来る機能です。
この時の言葉は、メールアドレスです。
例 u-info@uenohara.info アルファベットの小文字に丸が付いているのをアットと読みます。
カタツムリみたいなのです。・・・・アット・・・・・と聞いたら
メールアドレスだと思ってください。
(3) 自分のホームページを作る権利
プロバイダに加入すると誰でもホームページを作ることができます。
5MBから10MB程度のデータを置く場所が付いてくるのです。
このアドレスが、例のお経です。誰が何を書いてもかまいませんが、
書いた事を内緒には出来ません、世界中から見ることが出来るからです。
やれやれやっと使い使えるかと使い始めると
画面の右下の方に風船の様な中にコメントが現れます。「ウィンドウズのアップデートなんたらかんたら」「うぅ・・! また出た!」これをクリックするように促しています。
これは適当に「はい」と答えました。そして暫くすると「ウィンドウズは新しいアップデートをインストールする準備が出来ました」と言ってきます。「そんなの頼んでいませんよ!」「あっそうか!」先ほどの「はい」が原因だったのです。新品のパソコンを買ったのにもう古くなってしまったのです。「そんな事あるのですか?」
簡単に説明すると「貴方の買ったパソコンには、欠陥があるので最新版にしてください。」とマイクロソフトさんのウィンドウズがお願いしているのです。
これと同様にパソコンメーカのユーザー登録をするとやはり「ソフトウエアのアップデートをしてください。」と言ってきます。インストールしてあるソフトが多いと5時間以上かかる事もあります。使わないソフトは、アップデートしなくても大丈夫です。でも何が必要かを判断することは難しいですね!
「アップデート」とは、日本語で「更新」と訳されていますが、実際は、パソコンメーカやマイクロソフトが欠陥商品を販売してしまったので本来ならリコールを実施すべき事柄をユーザーに押し付けているのです。でも文句を言っても無駄です。パソコンに初めて電源を入れたときに「契約事項を確認の上同意しますか?」と尋ねられた事を覚えていないと思いますが、この時「はい」と答えているのです。この契約事項は難解で長いので読んで理解している人は、少ないと思います。「じゃんじゃんです!」
またまた脱線でした。
教訓:パソコンは壊れるものですから、インターネットを使って事務処理の効率化をする時は、予備のシステム(パソコン)を準備しておくことが大切であった。「何でも出来る出来る」で書いてある本や宣伝ばかりですが、現実は、小さな会社にとって厳しいわけです。
一ヵ月後、修理に出したパソコンが返ってきましたが、次の日には、また壊れてしまい再修理に3週間を要しました。
奥様は、この辺でもうへこたれるかと思っていましたが、苦難はあったけど便利さを少し味わったので前進してくれました。
6ヶ月後に入り、質問も的を射てきました。ISDNは、遅くて事務処理が遅くなる事に気付きました。また、ウィルス対策ソフトのデータ更新にも時間がかり不便さを感じ始めました。今までマウス操作やキーボード操作に時間がかかっていたので不満は無かったのですが、だいぶ上達したようです。私は、生意気に不満を言うようになった奥様を見ながらチョット嬉しく思いました。
ADSLに変更するには、電話回線の変更手続きと買ったばかりのISDNターミナルアダプタを捨てる羽目になるので説明を躊躇しました。何とかご理解を頂き、ADSLモデム付きルーターを購入しました。この頃はレンタルが無かったのです。またまた出費です。NTTからの距離が3Kmと長いので、実行スピードは1Mbps程度ですが、奥様は速くなったと大満足でしたのでほっとしました。
その後ご主人は、ノートパソコンを車に積んで営業に駆け回っています。しかし、そのノートパソコンは見掛け倒しで客先では使っていません。一般的にパソコンは、客先で歓迎される事は少ないのです。パソコンを開いてもたもたしていると早く帰ってくれと言われてしまいます。まだパソコンを使い始めて半年ですから鮮やかに操作することは当然出来ません。私は、そのもたもたした操作を売りに和やかな雰囲気を作って営業する方法もあるとアドバイスしました。
しかし、現実的に客先で電話線を借りてインターネットに接続することは、相手がインターネットの知識が無いわけですから不信感が募り電話線を貸してくれる筈が有りません。その上相手が会社の場合社内電話交換機がありますのでただ挿せば良いという訳でも有りません。ダイヤルアップ接続での課題には、一般家庭でもゼロ発信方式、パルスダイヤル方式、トーンダイヤル方式等が有り、とても初心者には出来ません。
車に積んであるノートパソコンの利用方法は、もっぱら営業先から直接自宅に帰った時の受注入力と送信に使っています。その効果は、自宅も会社も山間地のうえ車で40分以上離れていますので大変メリットがあります。週末の作業には、大変メリットが有る訳です。ご主人は、その頃から毎朝インターネットでニュースをみたり、情報検索をしたりして検索方法の質問が多くなってきました。
9ヶ月目に入り、先生大変だとやってきました。自宅の電話料金が5,000円も増えたと言うのです。私は、思わず「おめでとうございます」と言いました。インターネットを使いこなし、「やっと文明人になった証拠だよ!良かったじゃないですか!」自宅ではダイヤルアップ接続をしていたのです。ダイヤルアップ接続は、通信料金が加重法式で請求されますのでこの様な事になった訳です。料金節約には、通信スピード面でもメリットがるADSLがお勧めですが自宅がある地域は山間部のためADSLサービス対象地域ではありません。
そこで、会社のADSL化をした時のISDNターミナルアダプターが有る事を思い出しました。NTTお客様センタに連絡して、ISDNの申込をしましたが、またまた、ここで問題発生です。その地域にはISDN回線の割り当てが無いというのです。一ヵ月後に回線工事があるのでそれまで待って欲しいとの回答でした。田舎は何をするにも不便ですね!その後、日ごろから私は、ADSLやISDNの加入ご紹介をNTTお客様センタにしていたので、担当者のご尽力もあり、無事フレッツISDN回線で通信が開始されました。
一年が経とうとした頃から会社の業務連絡は、メールでの情報のやり取りが増加し、ファクス受信が減少し紙の消費量も減少しました。IT効果の一つのペーパーレス化が進んだのです。大きなファクスとコピーの兼用機のリース代金が無駄になり始めました。しかし、リース契約がまだ2年半残っているので経費節減効果は少ししか出ていません。リース契約の不都合さを実感しました。
また、奥様もパソコンが上達したので、パソコン技能検定試験に挑戦し見事合格しました。日ごろの努力と理解度を測定するには検定試験は良い道具です。その上本人の自信にも繋がります。試験に合格するために同じ操作を何度も繰り返し練習するのでパソコンでの文書作成から保存、印刷までの一連の流れが体に染み込みます。これに伴いパソコンの基本構成や専門用語がなんとなく理解されます。時々ご夫妻でパソコンの操作方法をめぐって議論がなされたかと想像すると少し可笑しく、また、ほのぼのとした情景が目に浮かびます。一年ほど前までは単なる田舎のオジサンとオバチャンでしかなかったご夫妻が最先端技術について話し合っているわけですからね!
一年半が経とうとした頃、ホームページを作る様に言われたと相談に見えました。ウィザード法式で項目選択と自社情報を入力すれば出来る簡単なものですが本人にとっては一大事です。他の人が作ったホームページは便利に閲覧をしていたのですが自分で作るのは初めてですからね!一時間ばかりアドバイスしたら出来上がりました。その時の一人で作ったような自慢げなご主人の顔が忘れられません。私は、そのご夫妻の笑顔が長い苦難のIT革命への挑戦の道のりを乗り越えた事を表していましたので、少しお手伝いが出来関わらせて頂いた事に感謝しました。
これで小さな会社のIT革命も一段落かと思っていましたら、2年目の後半に自宅にファックスを新設して取引先に送信したいので機種の選定をして欲しいと相談にやってきました。連絡し合った証拠が双方に必要なためにファックスが必要だと言うのです。よく聞くと相手側だけでも良いと言う事でした。それならファックス機は要らない、受信は、難しいが、ノートパソコンからWindowsのファックス機能を使って送信する方法がある事を提案しました。新しい操作方法を覚えなければ成りませんが、更なる出費は必要有りません。無駄な印刷も必要ない訳です。マスターするのに3日間私との間で何度も送受信テストしました。まず相談に来た事で知恵を出せば新たな出費を防げる一例でした。
最後に、この期間にデジカメのマスター物語もありましたが省略しました。ご夫妻のIT革命への挑戦は、まだまだ続きます。
以上
ご夫妻からのメール
先生の経験と感性をとりいれたご指導によって、二人でここまでパソコンを使っての事務処理、営業活動ができ、取引先からも評価を得ているところです。
これからも、先生のアドバイスを理解し、地域で認知されるような企業運営を目指して、ガンバッテいきますので、ご指導をお願いいたします。
ありがとうございました。
完